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夕方。
夕飯の準備に早目に掛かると言って美咲がエプロンをしてキッチンに立つ。
圧力鍋の使用説明書と肉じゃがのレシピを凝視しながら、野菜を冷蔵庫から取り出し始めた。
俺のアパートは部長のマンションと違って狭まいから、俺がリビングにいる時も、キッチンに立つ美咲がものすごく近くに感じる。
それが嬉しかった。
手を動かしながら俺と会話をして、たまに俺を振り返る美咲の顔が好きだった。
しばらくして、美咲が俺に報告する。
「圧力鍋…始動するね。」
「…何だよ。その意気込みは。」
「ドキドキするもん。爆発とかしたら怖いし。」
「するかよ。」
「とにかく、いくね。」
美咲は真剣な目でIHのスイッチを入れ、
その後、大きく息を吐いた。
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