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外は雪がしんしんと降り積もっている。
東京に大雪が降るのも珍しく、僕はそれを何を考えるでもなく病院の中から見ていた。
今日の検査も終わりだ。
何の検査なんだろう、僕は今だに思う。
僕の身体は■■■と違ってそれほどやわではないはずだ。
精神的なもの、と医者に言われた気がする。
僕はガラスに息を吹きかけて曇らせてみる。
このガラスのように、僕は曇っているのだろうか。
僕の世界は、静止した世界のように、思い出に捕らわれているのだろうか。
わからない。
この自由のきかない子供の身では。
■■■のお見舞いにも僕はたびたび顔を出していた。
なんだか、■■■と一緒にいると救われるような気がしたんだ。
■■■は、いつも笑って、でも辛そうで、痛そうで、寂しそうで、でも、
とてもやさしい匂いがしたんだ。
■■■が雪を愛おしそうに見る姿を見て、僕は思った。
雪がずっと降り続けて、ずっと世界を白く染め上げ続ければいい。
ずっとずっと、真っ白に。
僕は、そんな世界を求めたんだ。
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