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「うぅっ……ぐす……巡……」
「嫌だぁ……巡兄ぃとお別れなんて嫌だよぉ……」
ある日の夕暮れの公園
キラキラと輝く、暖かくて優しい光に照らされたこの公園に、子供達の啜り泣く声が響いていた
「ダメですのまひろちゃん、瀬莉香ちゃん。巡さんがもっと別れ辛くなっちゃいますの……」
「でも……百合枝かて、ホンマは悲しいんやろ?泣いたってえぇやん……ウチは目ぇ赤なるからえぇけどさ……」
「そういう鼎ちゃんも、泣いてる……」
「う、うっさいわ陽乃輪!ウチかて我慢してんねん!大好きな巡ちゃんの前で泣きたないから我慢してんねん!でも……アカン、やっぱ涙出てくるわ……うぅ……」
俺の目の前で、五人の女の子が泣いている
彼女達は俺の幼馴染み達で、俺達はとても仲の良い六人組だった
でも俺は明日、親の都合でこの街を……彼女達と離れなければならないのだ
この街を離れなければならないと知ったのはつい二日前で、理由は親の転勤だそうだ……最初に聞いた時は俺も泣きじゃくった
でも、もう決まってしまった事だ……変えられない
だから今日、明日に引っ越しを控えた俺は皆を公園に呼び出し、皆に俺の引っ越しを伝えた
そしたら案の定、皆泣き出した……当たり前だ、皆俺をとても好いてくれていたし、俺も皆が大好きなんだから
「本当にごめん……」
「ううん……巡君は悪くない。だから、謝らないで」
「陽乃輪……」
「巡さん、向こうに行ってもお元気でですの……」
「ぐす……巡!お前、向こうに行ってもアタシ達を忘れんなよ!忘れたらぶっ飛ばすからな!」
「百合枝……瀬莉香……」
「巡兄ぃ~!まひろ、お手紙出すから!いっぱい、い~~~っぱい出すからね!」
「たまには、連絡くれな?ウチ、ずっと待っとるから……ずっと待っとるから!」
「まひろ……鼎……」
皆の精一杯のお別れの言葉に、俺の目頭は熱くなった
ヤダ……やっぱり、皆と一生お別れするのは嫌だ!
俺は決意した……そして、それを約束にした
「皆……俺、必ず戻るよ……何があっても帰ってくるから」
「……本当?」
「うん、約束だ。だから皆、指切りしよう?この約束だけは、必ず守るから!」
俺達六人は、夕暮れの公園で一つの約束を交わした
必ず帰ってくる……この約束を必ず守る
それを胸に秘めて、俺は街を後にした
それから、六年の月日が流れ……物語は幕を開ける
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