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朝、目が覚めて外を見ると、あいにくの空模様。 まだ降ってきてないけど、雨が降るかな。 朝ごはんに、トーストとコーヒーを淹れる。 インスタントコーヒーに牛乳を混ぜた飲み物をコーヒーと言って問題がなければだけど。 時計を見ると、8時半。 「おっ、美咲が休みの日にこんな時間に起きてるなんてどうしたんだ?」 スーツ姿の兄が台所に現れた。 「出かけるからだよ。仕事行くんだね。気を付けてね。」 「おう。美咲も気を付けてな。」 「はーい。」 サービス業に休みは関係ないって言ってたけど、本当だな。 車の販売員は休みの日こそ稼ぎ時だし。 出て行った兄を見ながら売れるといいねと思った。 さて、こっちもそろそろ出かける用意をしなくては。 無難に、ワンピースに上着を羽織ればいいか。 化粧はいつも通りの手抜きでファンデーションと眉毛と口紅だけ。 誰に見せるわけでもないし。 駅まで徒歩3分。 田舎だからこその距離。 私鉄の赤い電車に乗って座る。 いつ乗っても座れる。 いつもは仕事に行くために下車する駅で、名古屋行きの電車に乗り換える。 こっちの電車もそんなに混んでない。 空いてる席に座って窓の外を見ると、ポツポツと雨が降り出した。
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