380人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
鼻と鼻がくっつきそうな距離で、眉間のしわはそのままに青葉が囁く。
「じゃあ真言を狙ってる奴らが何人いるか、誰か、言える?」
「…狙うって」
「今日だって相手が藤だったからよかったけど、ちょっと触られたくらいで反応するとか中学生じゃあるまいし」
「いや、それは…」
「分かんない?」
何か返す言葉を、と思っていると首筋に歯を立てて噛みつかれた。
反射で体が跳ねる。
「ーーーっ!?」
「他の奴らに気を持たせるような事するな」
そのまま何度もかじられる。
鈍い痛みで目に涙が滲む。
ぼんやりとする視界の中で、青葉が眉をしかめているのが見えた。
「お前は、俺のものなんだから」
唇を奪われ、激しく貪られる。
息が苦しくなる頃にようやく解放され、体を起こして息を整える。
見上げると、青葉がじっと僕を見ていた。
「…?」
「俺が言ったこと、わかる?」
「…それくらい、わかるし」
僕が自分のことわかってないっていいたいんでしょう。そういう目で見てる人がいるから、変な目で見られるようなことするなって。
「…?え、それって……」
おまえはおれのものなんだから
お前は、俺の…?
「…もしかして、しっ」
「うるさい」
皆まで言わず、また唇を塞がれる。
その行動が僕の思考を肯定しているような気がして、恥ずかしいような嬉しいような気持ちで顔が熱くなる。
青葉が、僕に対してこんなに素直(?)になることなんてないから、だから…
「…僕は、その…あおばが……す、きだから」
「知ってる。…でも自重して、本当に」
「……どうしたらいい?」
若干上目遣いになるのは不可抗力というもので。
すると青葉は、ため息をついたあとにやりと口角を上げた。
「俺の言う通りにする?」
「…TPOで」
「俺と言うものがいながら、保健医と密会してる人に拒否権があるとでも?」
「…っ、それは、相談とかだし、やましい事はなにも…」
「俺でいいじゃん」
「うーー…」
「マジで保健室行くのやめて。真言が保健医と二人きりとか俺の気持ちは?次やったら殴り込みに行くよ?そこで真言のこと犯しちゃうかも」
「わかりました!」
山代先生、いい人なのに。
すっかりいつもの調子を取り戻したらしい青葉を恨めしげに見つめる。
最初のコメントを投稿しよう!