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「ぅ、ん………」
紺野が目覚めたのは夜中の2時。当然部屋の電気は真っ暗で、何も見えない。
「……部屋…?」
未だ残る熱を感じながらもゆっくりと起き上がると、額に乗せられたタオルがぽとりと落ちた。
「誰が………」
それを拾って少し目線を逸らすと、今更ながら、隣に寄り添う様にして眠っていた遼が目に入る。
「……………。」
その近くにはほとんど溶けた氷が浮かぶ洗面器。おそらく、自分が寝ている間ひたすらタオルを代え続けてくれたのだろうと予想がついた。
「……………ありがとう…」
聞こえるはずもないが、紺野は遼にそう囁き、自分から寄り添う様にかなり密着して寝る。この部屋には掛け布団が一枚しかないため、紺野は自分に掛けられていた掛け布団を半分遼に掛け、眠った。
「あたたかい………こんなの、いつぶりだろぅ…?」
そう、寂しそうに呟くと、紺野は再び目を閉じた。
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