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「やっぱりね……熱でこの前の酔った時みたいになってる訳か…ったく…」
ちゅぽん…と水音を立てながら、紺野の口内に飴を残して指を抜くと、その指を今度は自分で咥えて綺麗にした。
「和麻、俺は今から学校行くけど、大人しく寝ててな?まだ熱あるんだから。」
「……ん。」
紺野が大人しく頷いた事に満足し軽く頭を撫でると、遼は素早く支度をして紺野の部屋を出た。一応防犯のために鍵を拝借し、しっかりと戸締りをした。
「ん?紺野がいないな……誰か知ってるヤツはいねーか?」
「和麻なら、風邪ひいて休みでーす。」
「へぇ、珍しいな。お大事にってつたえてくれ。」
「わかりましたー。」
その後紺野が休みなのが珍しいと、最近パートナーとして周りから認知され始めているために声をかけられ、ゼリーやジュースなどを押し付けられる。普段完璧なように見える紺野は、こういった隙に漬け込もうとする輩が多いのが現状だ。
「はぁ……ま、ゼリーとかは嬉しいからいいか。」
遼は大きめのビニール袋いっぱいに入ったお見舞いと称した媚売りを持ち、紺野の部屋に帰った。
「ただいま。お昼食べて薬飲んだ?」
「あぁ。おかえり。ありがとうな。」
熱が完全に下がったのか、紺野は起き上がって課題をやっていた。紺野は遼の持つビニール袋を見て、目を大きくした。
「そんなに持って、どうしたんだ?」
「和麻にだよ。お見舞いだってさ。」
「そっか。明日学校に行ったらお礼を言わないとだな。」
「そうしな。あ、夕飯まだだよね。なんか作るからちょっと待ってて。」
「ん?じゃあ、俺は風呂を洗って来よう。」
「よろしく。」
2人は、それぞれ忙しく動き始めた。
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