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富永は、思い出したように怒りを露にする。
酒出はそれに同情するように頷いて、柿崎の方に視線を送って軽く睨んだ。
「まったく酷え話しだ。アリバイがある人間を捕まえて、犯人扱いだなんてな」
「酒出警部補、犯人扱いなどしてません」
「まぁ、ホシの目星がついたんだ。兄さんには捜査協力してもらって、事件の早期解決と行こうじゃねぇか」
「そういう事だったんですか」
「あぁ、協力してくれるか?」
「えぇ、勿論です」
自分が置かれた状況を理解した富永。
彼は、快く酒出の申し出を受け入れ、機嫌を直して着席し直す。
「この事件の始まりは、兄さんの会社の社長の息子。そいつが、やらかしたレイプ事件だったな」
「今にして思えば、あれを隠蔽しなければ事件は起きなかったと……」
それを聞いて、酒出は話しを続ける。その内容は、富永が先ほど語った内容をなぞり確認していく作業となる。
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