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「ん、んんっ…」
辺りから何かが聞こえてくる。物を引きずる音の中に混ざった人の話し声が。
「……あれ?」
騒音に反応して体勢を変更。体を起こした瞬間に視界に飛び込んできたのは見慣れた教室だった。
「じゃあ宿題忘れた奴は居残りだからな。勝手に帰るんじゃないぞ!」
前方ではスーツ姿の男性が怒鳴り散らしている。隣のクラスにまで届きそうな大声で。
「しまった…」
どうやら居眠りしていたらしい。授業を区切るチャイムの音が辺りに鳴り響いていた。
「アイツ、うっぜぇ」
「宿題の量多すぎだっつの。デブのクセに調子乗んなや」
「力士なんだから大人しく相撲でもとってろっつの」
「わはは!」
周りにいる生徒達が口々に不満を漏らしている。主に皮肉を込めた悪態を。
扉を閉める音が聞こえると彼らは一斉に席を移動。授業の合間に訪れる自由時間の到来だった。
「次は気をつけないとなぁ…」
放心状態で後頭部を掻く。今までに授業をサボった事は無い。居眠りなんて生まれて初めての経験だった。
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