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ー私なんて…ただの弱い女です。
そう答えると、沖田さんはクスリと笑って「いいねぇ、その謙虚さ」と小さく呟いた。
「じゃあ、そんな君に提案。僕とひとつ約束しようか?」
ー約束事、ですか??
少し寂しそうな、いつもの笑顔と違う笑み。私はそれに導かれるようにコクンと小さく頷いていた
「僕は絶対病に負けたりしないよ。たとえ未来がそうなっていても…近藤さんのためにも、絶対打ち勝ってみせる。君に約束する。」
そう強い口調で言って、こちらに視線を向ける。「君は?」とその真っ直ぐな視線が語りかけていた。
ー私は、あなた方の隣で今を生きます。私に何が出来るのかわかりませんが…それを見つけるために。
そう告げると彼は「それでいいんだ、君は」と呟いて頭に手をおく。
「約束。もし守れなかったら…」
ー守れなかったら?
少しの間。
けれど沖田さんがそれを告げるのはごく僅かなー刹那な時間。
「僕のこと、殺していいよ。ー君がね」
その言葉と伴に葉が散るほどの強い風が吹き抜けた。
その言葉が沖田さんらしくて、いつものように"冗談"と取ることができなかった。
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