秘密。

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ここはある某大きなビル会社。 旅行関係の仕事で、毎日みんなパソコンと睨めっこしてる。 「こら!」 いきなり頭をパコンと叩かれた。 「いっ…たぁ」 後ろを振り返り、見上げると私の大嫌いな上司が険悪な表情をしながら仁王立ちで立っていた。 「何やってるの!?きちんと仕事しなさい!!」 「し…してますよぉ?」 私は叩かれたとこを抑えながら涙目で訴えかけるが、上司はパソコンをビシッと指差す。 「ここ!計算が全く違ってる!ここも違うわ!それにここの文章!誤字が多過ぎる!貴女もしかしてその状態で私に見せるつもりだったんじゃないわよねぇ!?」 大声でガミガミと怒鳴り続ける上司。 うわぁ…全く気づいてなかった。 「ま…まさか、今から直すつもりだったんです」 疑いの目で私を凝視する上司。 「…なら良いけど…」 笑顔で嘘をつき、何とか上司の怒りをかわすことに成功。 「貴女もねぇ…もう一年経つんだから仕事に慣れて貰わないと困るわよ」 はぁ…と呆れ顏をする上司。 わ、私だって慣れようと頑張ってるけど…何でだか出来ないんだもん。 「それに引き換え…」 そう言うと斜め右側のデスクでパソコンを打っている同僚を見る。 「春川さんは本当によく仕事が出来るわねぇ…」 上司はさっきまでの険悪な顔を崩し、満面の笑みで同僚を見ている。 …千香ちゃんかぁ。 確かに千香ちゃんは周りの上司や先輩からも評判が良いし、信頼もある。 …別に千香ちゃんと私を比べなくたって良いのに。 プーっと頬を膨らませていると上司は私の方をぐるんっと向き、また険悪な表情に戻る。 「とにかく!…何その口は」 私は慌てて膨らませた口を元に戻す。 「とにかく!貴女も早く春川さんみたいになれる様に頑張りなさい!!」 鬼の様な形相でそう言い放つと、カツカツとヒールを鳴らしながら去っていった。 なぁにあれ…感じ悪。 私がまるで頑張ってないみたいな言い方だったんですけど。 私だってやれば出来るんだから。 さぁて仕事仕事。
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