壱零八

見える？

こんばんはー
だれかいませんか？

誰も答えない。

だれかいませんか？
さみしいじゃないですか。

もうずいぶん前にサラリーマンとすれ違ったが、声をかけてもこちらをちらりとも見ずに歩いて行ってしまった。

寂しい。
誰かと話したいな。
ずっと一緒にいてくれよ。

何か賑やかな雰囲気が近づいてくる。

「あたしさー、昔からなんていうの」

女の子の二人連れのようだ。
「そう、見えちゃうんだよね。」
「怖いこといわないでよ！」
「大丈夫、ここらへんにはいないから！」
「本当に？」
「本当本当！」

見えるんだ。
お話してくれるかな。

そう思ったが諦めた。

彼女たちのすぐ後ろからついてくる

おびただしい数の
「僕ら」
が見えたから。