出逢いの夜

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雲がごくまばらに空に流れる夜空に月が漂っていた。 今夜も古より変わることなく世界を見下ろし、地面に張り付いたような街に冷たい光を落とす。 それはこれから先、何億年経っても変わらないのだろう、太陽と地球と人間が有る限り…。 月はきっとたくさんの人々の喜びや悲しみ怒りや楽しみに満ちた人生を見てきたはずだ。 その物語りに干渉することもなく静かに淡々と…。 そんな月に照らされながら電車が街を走り抜けていた。 数多の人の生活を乗せて夜の街を巡る電車。
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