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「さくらちゃーん、朝ヨォ?起きないと、チョメチョメしちゃうぞ!」
何度か同じ女性の真似をした男の声が部屋に響く。
俺はいつものように、目覚ましを止める。
「幸隆……」
俺の親友山田幸隆は、今年の夏自室で心臓麻痺で死んだ、その表情は苦しみを感じずに、逝けたようで安らかな……、ただ寝てるようにしか見えなかった。
一年が過ぎ、幸隆のことを悲しんでいるのは俺だけだろう。
俺は毎日の日課、食事もせずにPCに向かう、幸隆との思い出が詰まってるからだ。
「なあ、幸隆。この頃も俺たちはふざけあって、先生に怒られたりして、それでも楽しかったよな?」
俺はPCに保存されている幸隆との写真を見ながら、天国にいるであろう、幸隆に話しかける。
もちろん、返答があるわけではないが、俺は毎日こんなことを繰り返している。
俺はと言うと毎日こんなことを繰り返してるうちに、親でさえ話しかけて来なくなった、俺もわからなくはない、親友が死んで一年間も写真を見ながら、会話して……、正直自分が気持ち悪くは感じる。
幸隆が死んでから俺は、退屈で無意味と思う人生を過ごしていた。
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