第三章 ファン

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   そうした書き込みの中には、殺害を臭わせるようなものもある。  実際に、それを実行する者がいればいい。  勿論、いすみの周辺の人物で殺人を平気で行えるような。過激な人間がいるならば、ファンに依頼などしないだろうが。 「そもそも、殺害の依頼をしたのかは、今のところ不明ですがね」 「どういたしますか、警視」 「念の為、彼女の周辺の人物と、過激なファンの存在を確認しておいて下さい」 「はい、捜査員に指示します」  柿崎の部下は、携帯電話で連絡を始める。  それを見ながら、柿崎は考える。  事件の方向性が見えてこない事に、柿崎は焦りを覚えている。事件発生時から、嫌な予感がしていたのだが、それが膨らみ続けているようだ。  彼の表情は、硬いままだった。      
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