救出と、接近

4/12
2598人が本棚に入れています
本棚に追加
/453ページ
彼女は少し驚いた顔で俺からホットカフェオレを受け取ると、 小声でお礼を口にし、ぬくもりを感じるようにぎゅっと両手で挟んだ。 ホッと安堵した様子で表情を緩めた彼女は、 寝不足がそうさせるのかなぜか眩しく感じる。 「……さっきの人、ここで急にぶつかってきて…  謝ったんですけど何か、今から付き合え、とか、連絡先教えろ、とか言われて……」 (…は?) みるみる俺の顔が険しくなるのが自分で分かる。 「 ほんと助かりました…    ……佐川さんって  やさしいですね。」 そこで彼女はクスリ と笑い、 「さすが”プリンス”ですね」 「―…ッ」 その聞くだけでサブいあだ名を知られていた事実に いたたまれず彼女を押しやり、改札へと向かう。 次の電車にも危うく乗り遅れそうになり、慌てて二人飛び乗った。
/453ページ

最初のコメントを投稿しよう!