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彼女は少し驚いた顔で俺からホットカフェオレを受け取ると、
小声でお礼を口にし、ぬくもりを感じるようにぎゅっと両手で挟んだ。
ホッと安堵した様子で表情を緩めた彼女は、
寝不足がそうさせるのかなぜか眩しく感じる。
「……さっきの人、ここで急にぶつかってきて…
謝ったんですけど何か、今から付き合え、とか、連絡先教えろ、とか言われて……」
(…は?)
みるみる俺の顔が険しくなるのが自分で分かる。
「 ほんと助かりました…
……佐川さんって やさしいですね。」
そこで彼女はクスリ と笑い、
「さすが”プリンス”ですね」
「―…ッ」
その聞くだけでサブいあだ名を知られていた事実に
いたたまれず彼女を押しやり、改札へと向かう。
次の電車にも危うく乗り遅れそうになり、慌てて二人飛び乗った。
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