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「はい、お疲れさまでした!お姉さんも達者でな」
私は出入口の扉をおさえて、自称『永遠の二十歳』、祖父の代から付き合いのあるお姉さん?を送り出す。
「先生、別の場所で開院したら連絡しなさいよ!遊びに行くから!」
別れ際にありがたい一言をもらい、自然と笑みがこぼれる。
「当分は気ままな田舎暮しを満喫する予定だから…また何か心境に変化があれば連絡しますよ」
手を振りながら、最後の顔馴染みを送り出した。
入道雲が気持ち良さそうに泳ぐ夕焼けした空の下、お姉さん?は運転し慣れた外車に乗り込み、国道を南に走り抜けていった。
『ついに閉院か…』
私の祖父は開業医だった。そして父も医師となり、跡を継いだ。
父が跡を継ぎしばらくすると、祖父は鍼灸師の免許をとり、病院の横にあった土地を買い取り、あらたに鍼灸院を開院した。
そして私も必死で勉強を続け、現役でなんとか医学部に入学。
その後、無事に医師となり、30前に跡を継ぐことができた。
私が三代目となると、案の定、父は鍼灸師の免許を取得、再び祖父の跡を継いだ。
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