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都会の片隅。10坪あるかないか、という小さなバー・モーニングムーン。
私は、その女主人・サユリ。昼間の活気溢れる街並みの喧騒。夜の顔は全く違うこの街に、ネオンが夜を彩る頃、私も店を開ける。
稼ぎの有る日と無い日と。今夜はどちらになるかしら。バーテンダーのアキラは無口で無愛想だけど、彼が作るカクテルは逸品。
狭くて、儲かっているとは決して言えないけれど。彼のカクテルを飲みたくて、また来てしまうリピーター客は、新規の客より多いと思う。
私も暇な時は彼に良く作って貰っている。お気に入りは、“天気予報の恋人”という名前のカクテル。
甘いけれど爽やかな味は、雨上がりの晴れ間に微笑む女性のイメージだ、とアキラが言っていた。
なんか、良いじゃない?雨上がりに微笑む女性。優しくて綺麗な笑顔って感じで。一気にお気に入りよ。
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