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プロローグ~どうしようもない独白~
皆はどの程度幼い日のことを覚えているだろうか?
友達と日が暮れるまで遊び呆けた楽しかった日々を。
イタズラを両親に叱られ、泣きじゃくった苦い思い出を。
自転車の補助輪を外して、自分だけの力で前に進めた日の喜びを。
幼き日に得てきた想いたちをいつまで覚えているかな?
子供の体には大きく、些細なことで胸一杯となり、その時々に一喜一憂しながらも胸に満ちた想いと共に俺たちは成長してきた筈だ。
だけど――――それらは成長していく過程で悲しいかな、少しずつ薄れていく。
あんなにも嬉しかったのに。
こんなにも悔しかったのに。
どうしようもなく悲しかったのに。
過ぎ去っていく日々と共に幼い日の想い出にはノイズが混ざり、やがては消え去っていく。
思い出は花火のよう。
一瞬で咲き誇るからこその美しさがある。
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