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「さっきの威勢はどうしたんだ。」
グッタリと座り込む汐を嘲笑うかのような言葉も、今の汐にはどうでもいいことだった。
さっさとこの男と話をつけて帰ろう。
頭のなかはそれしかなかった。
「何か飲むか?」
「結構。さっさと話をしようじゃないの。」
男は汐の話を聞いているのか聞いていないのか、冷蔵庫を開けている。
そして汐の前に小瓶を置くと向かいのソファにゆっくり座った。
ペリエかよ・・いちいちコジャレてるわね。
ざっと見回せば広いリビングはまるでモデルルームのように片付いている。
ザ芸能人の部屋!って感じ?
だけど生活感がまるでない。
こんな所に住んでる人の気が知れないわ。
「話をするんじゃなかったのか?」
男の言葉に我に返る。
そうそう!ちゃっちゃと済ませなきゃね!ちゃっちゃと!
「単刀直入に言うけど、この結婚話は無かったことにしましょう!
良いわよね?
あなた、落ち着くタイプじゃないし、結婚するにしたってもうちょっと見映えのする人の方がいいでしょう?
ほら、今おつきあいしてる女優さん?あれ、今はモデルさんだっけ?とにかく、テレビ映えするプロの方の方がずっとお似合いですもんね?
じゃ、そういう事で。」
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