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──ちゃ……──
──も……ちゃ──
脳裏に響くこの声はなんだ?
──もちちゃ──
──おもちちゃ──
次第にでかくなる。
そして、何かの角で頭を叩かれ意識を取り戻した。
「お餅ちゃん!起きろって言ったのにさー。起きないからさー」
声の主はぐみだったらしい。
「おいこらお餅。授業中はなるべく伏せるな。気持ちはわからんでもないが気を付けろ」
せっちゃんはもう一度俺の頭を教科書でコツンと叩いたあと、教卓に戻っていった。
「全く起きろよなーお餅ちゃん」
ぐみはそう言って、ノートを取り始めた。
世界史の授業中に寝てしまっていたのか。
大きな欠伸をして前を向いた。
何か凄くもやもやする。
確か面白い夢を見ていたような……。
まぁいっか。
何も思い出せないままノートを取り始める。
「お餅ちゃんお餅ちゃん!これ見てうまくね?」
ぐみは、ノートのはしっこに描いたうんこの絵を見せてきた。
「お前頭の中うんこしかねーのかっ!」
「お餅!」
教科書を片手に持ち、せっちゃんが叫ぶ。
「うんことか言ってんなお餅。そんな腹痛いならトイレ許可するぞ」
教室中笑いに包まれ空気が和むと、再び授業が再開された。
やはり、いつも見る普通の日常であった。
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