4話目

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 とりあえず、不本意ながら交換させられてしまった葉っぱの茎のようなところを持ち、もう今日は出会わないだろうと開き直ってクルクル回しながら歩いていると、また引っかかった。 「すまない! ここがどこだかは分からないが、あなたが手に持っているのはもしや『なんでもなお~す葉(わ)』ではないだろうか?」  そう言って、右手と右目をどうみても負傷していますという感じで包帯を巻きつけている女性。うん、こんな美女なら大歓迎だ。例え、少々戦士のような痛い格好をしていても、ボン、キュ、ボンの体がアーマー越しに見て取れる。それよりも、こんなどこにでもありそうな葉っぱが、なんでもなお~す訳がないと思うんだが――役になりきっているのか? う~ん、とりあえず欲しそうなので、ドキドキしながら彼女に手渡すと、驚いたように目を見開いた。 「ま、まさかこれほど貴重なものをくれるというのか?!」  はい、そんな変哲もない葉っぱでよければ差し上げます。女性には優しくしなさしというのは、全男子の基本事項です。これがきっかけで仲良くなって――なんて夢がどこまでも広がっていく。 「あ、ありがとう!これだけあれば、私の怪我だけではなく、婚約者の病も――」  訂正、設定はどこまでも厳しかったです。いや、その婚約者設定を是非俺にください。もしかしなくても、きっと婚約者を治すために、治療に必要な素材を集めようとしてボロボロになったパターンですね。まぁ、所詮設定だし、現実でなら仲良くなって―― 「こんな物しかないんだが、是非受け取って欲しい。本当にありがとう!」  そう言ってプライスレスな笑顔と共に受け取ったのは『守護の髪飾り』という物らしい。様々な災厄や攻撃から身を守ってくれるという物のようだ。いや、これはあなたが持っているべきでしょ? 俺はそんなボロボロになることないし。 「すぐに仲間と合流しなければ。あっちの方に居るのか! なんでもな~す葉ありがとう!大切に使わせてもらう」  そう言って今までの男性痛い人と同様に、走り去っていく。是非、連絡先を!と口にしたけれど、すでに遅し。もはや、背中が見えないし。 まぁ、また変な物を貰ってしまったが、女性から貰った物だというだけでなんだか悪くない。それに、災厄から身を守ってくれるのなら、変な人からも守ってくれるだろうか?
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