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俺がどう対処すべきか考えていると、親衛隊だろう生徒達数名が転校生達の近くへ走って来る。
「ちょっと!そこのオタク!!東様と柳影様が迷惑してるでしょ!?離れなよっ!」
「そうだよ!だいたい、どうして石崎様と歩いてるの!」
「大上様が汚れるから寄らないでよ!!」
「鏡見なよ!身分不相応だよ!!」
そうして、とうとう我慢が効かなくなったのか親衛隊の奴らが煩く鳴いた。それでもやはりと言うか何と言うか、諦めない転校生は総隊長や副隊長にしつこく名前を聞いたりしていた。
それに痺れを切らしたのか、親衛隊の小柄な生徒が一人、転校生の方へと歩き出した。
「聞いてるの!?あんたに言ってるんだよ!?このオタク!!」
「なんだよ!お前さっきからうるせーな!そうか!俺が琥太郎にばっかり構うから、嫉妬したんだな!?大丈夫だぞ!俺はお前とも仲良くしてやる!!」
げんなりさせられる会話だな。勘違いも甚だしい転校生は、今度は小柄な親衛隊員に詰め寄った。
「はあ?ふざけないでよ!あんた頭可笑しいんじゃないの!!」
「なっ!そんな事言っちゃ駄目なんだぞ!謝れよ!そしたら許してやるから!!俺は優しいからな!!」
「っ、ふざけないでって言ってるでしょ!謝るわけないじゃん!!」
「ひ、酷いっ、お前、そんな事言ったら駄目なんだからな!駄目なんだからなっ!!」
いきなり拳を振り上げた転校生を見る。
おいおい。いくらなんでも殴るのは駄目だろう。総隊長達も驚いて動けていない。俺も此処からじゃ直接は止められない。
ずいぶん野蛮な転校生だな。仕方がないから俺は注文用のタッチパネルを机から取って、投げようとした。
しかし、俺の行為は途中で止まる。この出来事を中断させるだろう者が、俺の目に見えたからだ。
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