穏やかなる日常

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「こっちなんだけど、いいかな?」 にっこりと笑って、資料室のドアを開けると、ドアを押さえて待っている。 『あ、え-と…』 …ダメだ。一言たりとも、気の利いた言葉が思い浮かばない。 諦めて、資料室に入る。 『何すればいいですか?』 「この資料の山を、1部につき1Pから20Pまで、それを100部作らなくちゃいけないから、それを手伝って欲しいんだけど。 一週間以内に仕上げないと間に合わないから、明日からは、しばらく僕の手伝いをして下さい。」 『ま、毎日…?』 「だから、仕上がるまで毎日です。」 『じゃあ、他に応援を…』 「他に人員はいません。それに、ここ狭いのでキミがいれば十分です。」 「それとも…」 にっこりと笑って、詰め寄って来る。 「会長の仕事は手伝えて、 僕の 仕事は 手伝えない とでも?」 一言ずつ発するたびに、一歩ずつ近づいて来る。 元々狭い室内には、真ん中に書類が山となっている作業机がある。 私の体は作業机にお尻がぶつかって、机に手をついて上体を支えるという、非常に苦しい体制になっていた。 --詰め寄って来た和歌とは向かい合った密着状態で。
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