ヤンキーとおねーちゃん(柊矢 回想編)

2/18
9828人が本棚に入れています
本棚に追加
/326ページ
ただ一人だけ…いつまでも忘れられなかった女(ヒト)がいる。 それは俺がまだ中坊だった頃の事。 裕福な家庭に生まれ何不自由なく育てられていたにも関わらず、反抗期突入と同時に不良になった。 やっかまれて虐められていたとか、最初からそっちの世界を目指していた訳じゃないけど… グレた理由はご立派な父親からの過分な重圧と、先に生まれたってだけで偉そうに威張り散らす姉貴に不満が爆発したってだけ。 これはまぁ…お約束ってやつか? 丁度俺より以前に要(カナメ)の奴がバリバリのヤンキーになってて、自由奔放な生活に憧れたってのもある。 ガキの頃から武道をやらされてたおかげか、毎日喧嘩に明け暮れてた割に大した怪我も無く、簡単に学校のヤンキー共を制圧した。 んで、そん時位から調子こいてど金髪の厳ついモヒカンにしてみたりして…恥ずかしい話しあの頃の俺は、中二病に近い感覚に酔い浸っていただけなのかも知れない。 親に反発してる俺はかっこいいとか、一人でも充分生きていけるだとか。 けど、現実は甘くなかった。 どの世界でも、出る杭は容赦無く打たれる。 好き勝手やるだけやらかした俺は悪目立ちし過ぎて、街のチンピラやヤーさんにまで目ぇ付けられて、ある時一人のとこを襲撃されて滅茶苦茶にボコられた。 これは十年以上経っても苦い記憶として残っている。 幸い手足一本ずつの骨と身体中の打撲で命に別状はなかったものの、全治2ヶ月と診断され… 親父の息がかかった病院に、監視付きでぶち込まれたんだ。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!