桜の記憶

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こういう笑顔を、小悪魔のような笑みというのかもしれない。 ぼんやりとそんなことを思う俺をよそに、少女は後ろで手を組み上機嫌に言葉を続けた。 「――何と言っても、あたしは悪魔ですから」 変なところで単純で、そのくせ横柄でわがままな部分があり、それでも無邪気で優しくもあるこの悪魔少女。 そんな彼女に振り回される日々は、まだまだ続くのだろう。 根拠はなくとも、目の前の不敵な笑顔を見てるとそう確信できてしまう。 (まったく……) どうしようもないなという気持ちと諦めを込めて俺は、春には色鮮やかに咲き乱れるであろう道の向こうに前途多難な未来と、そこを二人で歩く姿を想像した。        完
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