■過去と今■

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■過去と今■

  「ん……?」 「どうしたの?けーじろ?」 紫杞が俺の左手を引くと同時に 右腕が重く感じた… 振り返ったが何もない… 俺は右腕を回してみる…けど違和感もなくクルクル回る 「肩…痛いの?」 不安げに紫杞が問い掛ける それに笑顔を向けて頭を振る が、俺の中で何かが引っかかって もう1度振り返ってみた やっぱり何もないし誰も居ない 「…………」 「けーじろ…大丈夫?」 「あぁ、大丈夫…わりぃ」 紫杞の頭を撫でる 右腕は軽い 何かに引っ張られたような… でも押されたような… 微妙な感覚が右腕に残る。 「俺は平気だよ?」 「ん??」 「俺はけーじろの過去に何があっても平気だよ?」 「………」 「わっ!?」 俺はグシャグシャに紫杞の頭を両手で撫でてやった 本当に吹っ切れる時が来たら 思いっきり抱き締めてやろう…… ‐‐‐ 背中にあの頃の思いが いまだに貼りついて離れない 不安や恐怖… そして後悔の念… 今はもう無理に忘れる事を止めた… すり減るまで引きずってやる 今は幸せに生きたいから………    end       image=470855661.jpg
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