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そんなこんなで、これからの授業について胸を躍らせた2人は、昇降口へとたどり着いた。
靴を脱ぎ、上履きに履き替える。各学年校舎へとつながる広場のようなところに先に歩を進めていたセイヤが、声をあげた。
「お、あそこにクラス表があるぜ!」
昇降口近くにある掲示板に、巨大な紙が貼ってあった。『今年度クラス表』と、その紙の上段部分に印刷されていた。
すでに何名かの生徒が集まり、同じクラスだと喜び合っている姿や、親しい友達と同じクラスではなかったのか、少し表情を曇らせている姿が見える。
「見にいこう」
クラス表の前まで歩き、自分たちの名前を探す。アルトは、『4組』の欄に自分の名前を見つけた。そしてその上の方に、セイヤの名前もある。
「今年も一緒のクラスだな」
「おう、よろしくな!」
2人が教室に向かおうとすると、1人の少女が昇降口から駆けてきた。
「おはよ、アルト、セイヤ!」
その少女は、2人に向かって挨拶をしつつ、クラス表へと向かおうとする。
「おはようユウナ。俺たちと同じクラスだよ」
少女ーユウナ・ジルフールは、アルトの声を受け、急ブレーキをかけて回れ右してこちらに近づいてきた。
なんだか少し御機嫌斜めな様子。
「なんで先に言っちゃうのよ!」
「え?いや、俺知ってるのにわざわざ見に行かせるのもアレだなと」
「楽しみが奪われちゃったじゃない!」
「えぇー…」
アルトには、なぜユウナがこんなにも起こっているのか理解できない。
「まぁまぁ、3人とも同じクラスでよかったじゃん。それでいいでしょ?」
そんな様子を見たセイヤは、ユウナをなだめる。
「ま、まあ、それはそうなんだけど…」
まだ少し口を尖らせている。
ユウナは、アルトたちと中等部の時に仲良くなった。中等部進学時、名前順(ファミリーネーム)でアルトと席が前後だった関係で話すようになり、その後セイヤとも親しくなった、という形だ。
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