月夜

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こんばんは、沖田さんの小姓になって早、数時間の朝月です。 あの後、沖田さんと広間に行った私は食事をしています。 「平助!その魚の干物と俺の沢庵を交換しないか!?」 「うわっ、左之さん好い加減にしろよな!等価交換って言葉を知らないわけ!?」 ギャーギャー騒ぐ2人を横目で見て、自分の料理から目を離す…フリをする ポイッ バレないように、そーっと料理を見下ろしていると隣からネギが飛んできた ぽちゃん… ネギは宙で1回転半ひねりを華麗に決めると、間抜けな音を立てて味噌汁に着水する みなさん、普通に生活していてネギが飛んでくる事ってありますか? 「ないわ!!!」 今度は茄子を投下してこようとしていた沖田さんの腕を素早く掴む 「嫌いな物を静かに渡すっていうのならまだ許しますよ、まだ!何、投げ込んじゃってるんですか!」 隣から野菜を投げつけてくる沖田を一喝するが、本人はまるで反省していない 「小姓なんだから食べてよ、小姓なんだから」 大切な事だから二回言ってみました…って、やかましいわ! 「何でも小姓の仕事にしないでください!それに、野菜を食べないと強くなれませんよ」 ポイッ 味噌汁に入っていた蕪を沖田さんのお皿に投げる 「蕪なんて投げてないんだけど。それに野菜なんか食べなくたって強くなれるからね」 ポイッ 蕪が投げ返されたため慌ててお皿を手でガードすると、予想が外れて茶碗に入った 実は自分も野菜がそんなに好きではない そのため、どさくさに紛れて野菜を渡してやろうと試みるが上手くいかない くそっ、なんて大人気ないんだ! 「そういえば朝月、今日からお前は総司と同室だからな」 「「はい!!?」」 ビチャッ 驚きのあまり、2人が投げていた野菜が宙を舞う 沖田が投げた茄子が楓の奥にいた斎藤の皿に飛び込み、楓の投げた冬瓜が沖田の奥にいた永倉の頬に直撃した
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