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巡察に島原。
色々なことがありすぎて、自分の部屋に着くなり死んだように眠ってしまった。
気がついたのは太陽が高く昇った頃。
………いつもは薄暗い時間には目を覚ますのに。
取り合えず急いで着流しに着替える。
以前平間にどうして袴を着ないのかと訊かれたことがある。
理由は単純。苦しいからだ。
別に太ってるとかじゃなく、着流しの上からまた袴を着る、というのが窮屈なのだ。
それに今まではただの板前。
(用心棒という設定で通っているが)
一般人は普通袴など着ないもの。
今更着るのも違和感がある。
それを言ったら流石元町人と馬鹿にされたが何も言うまい。
外に出て稽古のために中庭へ向かう。
………朝御飯はもういいか。
すると途中で野口にすれ違った。
「あ、四乃!おはよう!四乃が俺より遅いなんて珍しいね」
「おはようございます、野口さん。どうやら久々に外を歩き回ったら疲れてしまったようで」
苦笑いしながら言う。
「あー、島原?その前に巡察だっけ?しかも総司とでしょ?初っぱなからそれは疲れるだろうね。そういや今日は四乃、非番だってさ」
「え?そうなんですか?」
それは初耳だ。
「うん。さっき新見さんが言ってたから」
「わかりました。ありがとうございます」
お礼をしてその場を去ろうとしたとき。
「あ!そうそう、芹沢さんが今日は稽古禁止だって!」
え?
「私が、ですか?」
「そ。なんでかは知らないけど。んじゃまたね」
そう言うと手をひらひらと振りながら去っていく。
それにしても、稽古禁止とは。
何か理由があるのだろうか。
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