第二場 葉桜に誓いを

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巡察に島原。 色々なことがありすぎて、自分の部屋に着くなり死んだように眠ってしまった。 気がついたのは太陽が高く昇った頃。 ………いつもは薄暗い時間には目を覚ますのに。 取り合えず急いで着流しに着替える。 以前平間にどうして袴を着ないのかと訊かれたことがある。 理由は単純。苦しいからだ。 別に太ってるとかじゃなく、着流しの上からまた袴を着る、というのが窮屈なのだ。 それに今まではただの板前。 (用心棒という設定で通っているが) 一般人は普通袴など着ないもの。 今更着るのも違和感がある。 それを言ったら流石元町人と馬鹿にされたが何も言うまい。 外に出て稽古のために中庭へ向かう。 ………朝御飯はもういいか。 すると途中で野口にすれ違った。 「あ、四乃!おはよう!四乃が俺より遅いなんて珍しいね」 「おはようございます、野口さん。どうやら久々に外を歩き回ったら疲れてしまったようで」 苦笑いしながら言う。 「あー、島原?その前に巡察だっけ?しかも総司とでしょ?初っぱなからそれは疲れるだろうね。そういや今日は四乃、非番だってさ」 「え?そうなんですか?」 それは初耳だ。 「うん。さっき新見さんが言ってたから」 「わかりました。ありがとうございます」 お礼をしてその場を去ろうとしたとき。 「あ!そうそう、芹沢さんが今日は稽古禁止だって!」 え? 「私が、ですか?」 「そ。なんでかは知らないけど。んじゃまたね」 そう言うと手をひらひらと振りながら去っていく。 それにしても、稽古禁止とは。 何か理由があるのだろうか。
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