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「────・・・ミナミ!」
「・・・・・っ、ん」
名前を呼ばれて、微睡みに落ちていた意識は覚醒した。頭がぼんやりとする。
教室の教卓の前に、担任であるヤブキ先生が立っていた。
いつの間にかHRが始まって、いつの間にか俺は寝ちゃってたんだ。
「お前、3年になってから弛んでるぞ?」
「す、すみません」
「仕事忙しいのか?」
「や、それほどじゃないんですけどね」
誤魔化すように笑うと溜め息を頂いた。
いつの間に寝ちゃったんだろう。そんなに疲れてたわけじゃないのに。
そういえば、何か夢のようなものをみていた気がするんだけど。
「お前な、もう3年だぞ」
「ですね」
「・・・いいか、何度も言うようだけどよく聞いとけ」
あの、修学旅行から帰った後。
俺はそのまま学園に通えることになった。もちろん帝の仕事も両立して。ギルドマスターと先生達が強く学園側に抗議してくれたらしい。
もちろん、俺だけ。
今ではそんな生活にも慣れて、無事3年生にも進級した。
「ミナミは例外だけどよ。今年お前らは卒業して、まあ進学なり就職なりするわけだ。いいか?気を引き締める時なんだぞ」
あの後、何度も西の国に行けるようにお願いしたけど、許可はおりなかった。マスターからも許しは出なくて。
結局俺は、俺達はあれから一度もハズキに会っていない。
生きているのか、それすらも分からないまま。
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