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辛かったから、笑ったのか。
後悔したから、今こんなにも頑張っているのか。少しでもハズキに近付けるように。
知ってるよ。無茶な笑顔の後に、カイトの表情に影が落ちるの。
知ってるよ。ふとした瞬間に、キリヤが泣きそうな顔になってるの。
忘れることなんて出来ないの、ちゃんと分かってる。だから皆、辛いんだ。
1人で歩けていると思い込んでるだけだ。
「進路が決まってない奴は、早々に先を考えるようにな」
ごめんね、ハズキ。
俺は隣にハズキのいない未来が、想像できなかったから。いつまでもうじうじしちゃうんだよ。
あんな風に別れることになって、準備の出来ていなかった俺は未だに引き摺り回している。もう皆、前を向いているっていうのに。
先のことなんか、考えられるわけない。
「とまあ、御託はこのくらいにしてだな。折角の学園生活最後の年だ。楽しめよ。このメンバーで全力で」
最後はヤブキ先生らしい締めくくり。
2年連続で先生のクラスになったんだ。大体のことは分かってくる。そういうところは嫌いじゃなかった。
Sクラスを受け持つことのできる実力もあるしね。
────ここにハズキがいたら、最高だったのにな。
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