第6章1話 前奏曲(プレリュード)

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 大量の書類を抱えて資料室の隅から、窓際まで運び机の上に置くとサイカはため息を漏らす。椅子に座っていたスファレがサイカのため息に気づき、頭を抱えてため息を返した。 「ねえ、スファレ……今更情報を洗い直す意味ってあるのかなぁ」  机の上に乗せた書類の上に顎を置いて頬を膨らませるサイカを軽く睨み付けると、スファレは立ち上がってサイカの頬を人差し指で突っつく。 「サイカ。忘れましたか? 聖女様を“外”に出す要因を作ったのは我々にあります。“予言の子”であるレイデンと、その手助けをしているアメティスタを探すために彼らの情報を集めるべきです」  何度もつんつんしながら、スファレは深いため息を漏らした。 「……そうだけどー、ギルティに任せたって」 「そのギルティを仕切ってるのはディアモンドです。彼は反ギルティ派の人間ですよ」  サイカの文句を食い気味に否定すると、スファレは椅子に座り資料に目を通していく。 「そうだけど……」 「彼らと我々では目的が似ているようで違います。僕は彼らを信用できません」  そう断言するスファレをじっと見つめ、サイカはスファレの向かい側の席に座った。
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