32人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
人生は常に『唐突』で溢れている。
事故や死、天災なんかがまさにそれで、僕らとは切っても切れないモノだ。
何でそんなに悪いことばかり羅列するのか?
理由は簡単だ。僕が『唐突』という言葉にあまりいい感情を抱いていないから。
だからこそ、この話はこんな言葉で始めたいと思う。
――それは『唐突』に始まった。
「ここは……何処だ?」
鈍く痛む頭を抑えながら、椅子を蹴飛ばすように立ち上がって周囲を見渡す。
白を基調とした、モノトーンな色で統一された部屋だ。
余程の拘りなのか、小物に至るまで全て白と黒の物以外は何も見えない。
窓はなく、部屋に有るのは机とソファー、それから出ていくためのドアが一つきり。
こんな部屋に来るまでの経緯は、正直何の心当たりもない。
そもそも何処かに出掛けた覚えもないし、僕の部屋がいきなり変わってしまったと言うわけでもないだろう。
記憶が間違っていないなら、今日は学校が有った筈だ。
その後、家に帰ってから風呂に入った。ここまでは良い。
そのあとは布団に――布団?
最初のコメントを投稿しよう!