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くるくると。
くるくると私の頭上に桜の花びらが落ちてくる。
私は上を見上げて柔らかく微笑む。
端から見れば、桜の美しさに思わず顔が綻んだ様に見える事だろう。
まあ、それも無いとは言い切れないけど。
「こら、止めなさい」
何にもいない場所に話しかける私は限り無く痛い子何だろうな。
本当は何にもいないなんて事は無いんだけれど。
『はぁい』
桜の枝に腰掛ける少女は悪戯な笑みを浮かべて、木の中に消えていった。
……いつの間にか私もあの桜の精と仲良しだなぁ。
こんな風に、精霊を見て笑える日が来るなんて思ってもみなかった。
それもこれも全部『あの人』のおかげ。
こうして日曜日にまで学園に来ているのもあの人のため。
あの空き教室にいるあの人に会うためだ。
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