ACT.1 怒らないから話せと言われ、話したら怒られた件について

2/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「だいたい、貧困層が探偵とか雇っても 意味がないって言うか、財力あるもの 勝ちって言うの? 頼んで金さえだしゃ、その情報が どんな事に使われるかもお構いなしに 何でも調べてくれる。 世は金。札束をひょいひょい出せば 買収なんて赤子の手を捻るより簡単」 街がネオンが輝く頃、キャバクラ snow flowerで狐牙は紫のドレスに 身を纏い隅っこに座り接客をしていた。 代議士の息子。 金の羽振りがよく多少のお触りも みんな見て見ぬふりが当たり前。 しかも、今日はsnowに来た時には すでに出来上がっており、 気持ち良さそうに"探偵"について 語っていた。 「だいたい、金を貰って人の事を こそこそ嗅ぎ回るのって言わば ストーカーな訳だよ。 警察沙汰の話だよ?そんなのが何で 職として認められてんのかね~」 「あら、探偵もなかなか凄いのよ。 事件を解決へと導いたり悩みの種を 抹消してくれたり……。 お兄さん、マンガとか読まないの?」 狐牙は淡々と反論すると最後は 呆れたような物言いをした。 「はぁ!?漫画なんてこれっぽっちも リアル感がねぇよ。 大事なのは今。なぁ分かるだろ?」 隣の女性は腰に違和感をもち、 「えぇ……」 声を震わせた。 見て見ぬふりなど到底できない狐牙は 自分の前に置かれてあった口付かずの お酒が入れられたコップを持ち男に 中身をぶちまけた。 「何しやがるこのアマ!!」 「あら、ごめんなさい。 手がすべってしまって~」 怒り狂う男を前にヘラっと笑う狐牙に 長くも纏められた髪を掴み、通路へ 投げ飛ばす。 「いい気になんなよ!! これが客に対しての態度か!?あぁ!!」 狐牙の前にしゃがみ、前髪を掴み 自分の方へと向かせる。 回りは騒然としているものの、 止められる者はいない。 「申し訳ありません」 低音で囁き、怒りに任せて表情を作り、 男を見る狐牙。 「何だよその目は……」 狼狽えていると感じた次の瞬間 髪を掴んでいる手を掴み、 逆手に伸ばし、立ち上がる。 「いってぇ!!」 膝をつき、男は孤牙を睨み付けるが、 孤牙の眼力はさらに上をいく。 「ギャーギャー喚くな。 まだ10%も力を出してはないでしょ? それとも、龍聖会幹部とあろう者が 女に膝つかされてギャーギャー喚く事 しかできないの?」 「お前……はいったい…… どこでそれを……」 「フッ、私の仕事柄、地域の事には 詳し過ぎて困ってんのよ」 さらにギチギチと音を鳴らしながら 腕を後ろで押さえつけ耳元で囁く。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!