雨が降る前に

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中3だった。 向かいの高等部の校舎。 風に揺れる白いカーテン。 雨が降る前に聞こえてくる、ラベルの『水の戯れ』。 数ある練習室から聞こえる様々な楽器の音の中で、亮輔の音だけが私の耳にまっすぐに届いた。 悲しいぐらいに深く澄んで― それは私の耳にこう届いていた。 「そばにいて」と。
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