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顔を伏せたまま黙りこくっているあたしに、蒼ちゃんも何も言わなくて。
ただでさえ、この空間に蒼ちゃんとふたりきりというだけで、蒼ちゃんに聴こえてしまいそうなほどに鼓動が大きく速く走り続けているのに、こんなに沈黙が続いてしまうと、このまま心臓が押し潰されそうになってしまう。
激しく動く心臓と一生懸命戦っているあたしに、蒼ちゃんは静かな声で呟いた。
「圭介には、話してきた」
「え」
「すずに、気持ちを伝えること」
「……」
圭ちゃんはあたしがまだ蒼ちゃんのことを想っていることに気づいている。
蒼ちゃんの想いを圭ちゃんに伝えたってことは……。
「何て?」
「ん?」
「圭ちゃんは、何て?」
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