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「あっ久しぶり~、また会ったじゃん。えっもしかして地元ここらへんなのかよー?」 「え、あ、あぁー…おぅ。」 「ンじゃなー、ばいばーい」 明るい声にピースサインで離れていく陽気な男の子を見送る彼氏は、浮かない顔だった。 「どしたの浩紀、いまの友達でしょ?」 「いや、全然知らんヤツ。」 「……は?えー、どういうこと??」 「さぁ。なんかちょっと前から知り合い風に話しかけられるんだけど、俺、知らんのよな。」 「わー、なにそれ?よくわかんない。ま、でもここ地元って聞いてきたってことは地元の知り合いではないってことカナ。むしろ私の地元だし?」 「あー確かに。かといって歳も下っぽいしでバイト先も被っていなかったとしか思えねーしなぁ…」 「あー、まぁあるよねたまに。向こうの勘違いかなってアレでしょ?」 「そーソレな。なのにお互いに顔忘れる前に回数重ねちゃってどうしたもんか…」 「本当に知り合いじゃないの?」 「…多分。なんかもう、俺が忘れてるパターンなのか?って思えてきてる」 「あちゃ~…。可能性としては飲み会とかかな?浩紀は酔ってて覚えてないけどあの子はってカンジ?」 「そうなんかな。俺的な初対面は先々月の会社の親睦BBQでハジメマシテだったんだけど。」 「いや知り合いじゃん!なにバッチリ覚えてるくせに「知らん~」とか、なにそれ」 「違う違う、その時点で向うから知り合い認定されてたンだって。「久しぶり~、元気だった」って手ぇ振られて」 「えー…」 「会社の人の手前「知らねえよ」とは言えないしで、…つい適当に」 「知り合いぶっちゃった、…と。」 「…そう。しかもその次はツタヤで立ち読みしてる時にツンツン「よっ!」ってカンジだったし、そのまた次はショッピングモールですげー人込みの中で「お~い!発見~!」って目のとこ丸く囲って超笑顔だったんだぞ…」 「そいでさっきのピースって…めっちゃ親密度上がってんじゃん!どーすんのぉ?」 「どーしたほうがいいですかね…?」 「うーん、もう正直に言うか、名前聞き出すかしかなくない?」 「いつどこで会うのかもわからんのに難易度高…っ」 「まーもう会わないかもしれないじゃん。たぶん」 「それは、まぁ。俺…暫らく引きこもろうかな。」 「はは、それじゃご飯作りに行ってあげよっか?通い妻っぽくさー、なんちゃって」 「お、おぉ…え、同棲…する?」 「ン、まーそれは、あの、追々。いまは、…通います。」 「ぅわー、わー…えっと、あー、よろしくお願いします。これから末永く」 「その台詞は、ちゃんと聞きたいので…」 あ!だなっ!では、後日…お日柄を新めます。」 「あらためてくだサイ」 、
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