第四話前編【最強の騎士】

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弟が死んだ季節。 とても暑い日に彼は亡くなった。 「それで池を見ながらさ。 そろそろ暑くなるなぁって思ってたわけ」 「それで?」 「スゴイ不謹慎だよ。 この子さ、叫び声あげながら空から落ちてきたの」 苦笑しながらアイナは事実のみを淡々と話す。 吹っ切れているように見えて、弟の死を乗り越えられていないことは手に取るようにわかった。 「空から?」 「うん、空から。 すぐに助けて教会で治療して、しかもこの子起きるのに二日かかって」 「ちょっと待て。 空から降ってきたこいつが、人を探してるんだな?」 とても奇妙な顔をしたマスターは、町の情報屋よろしく恐る恐る話し始めた。 こんな不思議過ぎることがあってはならない。 しかし辻褄は合っていると付け加える。 「二日前、空から落ちてきたってヤツを雇った男が飲みにきた」 すでに寝てしまったハルミの代わりに、アイナはニッコリと笑って三杯目のビールを頼んだのだった。
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