第四話前編【最強の騎士】

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「戦えないヤツはなぁ……どこかで雇われてるんじゃないか?」 困った顔をしながらマスターは追加のビールを手渡して話した。 「なるほどね。 ありがと!」 「ところで連れの兄ちゃん、大丈夫か?」 アイナの見ていないところで、ハルミは頭をふらふらさせながらビールを飲み干した。 もうすでに顔は真っ赤になっており、見てわかるほどに彼は酔っている。 「あちゃあ、こんなに弱かったのね」 「アイナさん! 俺は魔法使いになりたいんですよ!」 「うんうん、知ってるよ」 意外にも煙たがる様子はなく、アイナは笑顔でハルミの話を聞き始めた。 酔っ払いの介抱など面倒くさいことこの上ないが、それでもアイナはきちんとそれをこなしている。 「ずいぶん手慣れてるな」 「うん、弟も弱かったから」 そう言ってアイナは二杯目のビールを空にするも、三杯目を頼もうとはしない。 小綺麗な店内でもない、ハルミでもない、どこか遠い所を見ているような目だ。 「私、夏が嫌いなんだよね」 どうやらアイナも少しばかり酔っているらしく、感慨深げに語り始めた。
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