6.大切なこと

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私の手の上に重なっていた昂くんの手に力がこもった。 「俺なりに好きでいたつもりだったけど、向こうには伝わってなかったみたいで。…ていうか、伝わるほどの気持ちは確かに持ってなかったのかも。」 呟くように静かに発せられる言葉からは、 懺悔みたいな気持ちが流れてくる。 元々言葉数が決して多いほうではない昂くん。 きっと里紗さんは、自分ばっかり好きな気がして 昂くんの気持ちが見えなくなって……手放してしまったんだ。 その気持ちは、すごくよく分かる。 私だって、ちゃんと”好き”って言われてなかったら 不安なままだった。 「だからフラれて当然なんだよな。…って今なら分かる。当時は意味わかんなかったけど。」 「……分かんなかったんだ。」 「わかんねぇよ、女の気持ちなんて。15だぞ? 今だってなかなかわかんねぇのに。」 憤然と言う昂くんがなんだか可笑しくて、ぷっと笑ってしまった。
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