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私の手の上に重なっていた昂くんの手に力がこもった。
「俺なりに好きでいたつもりだったけど、向こうには伝わってなかったみたいで。…ていうか、伝わるほどの気持ちは確かに持ってなかったのかも。」
呟くように静かに発せられる言葉からは、
懺悔みたいな気持ちが流れてくる。
元々言葉数が決して多いほうではない昂くん。
きっと里紗さんは、自分ばっかり好きな気がして
昂くんの気持ちが見えなくなって……手放してしまったんだ。
その気持ちは、すごくよく分かる。
私だって、ちゃんと”好き”って言われてなかったら
不安なままだった。
「だからフラれて当然なんだよな。…って今なら分かる。当時は意味わかんなかったけど。」
「……分かんなかったんだ。」
「わかんねぇよ、女の気持ちなんて。15だぞ? 今だってなかなかわかんねぇのに。」
憤然と言う昂くんがなんだか可笑しくて、ぷっと笑ってしまった。
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