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「さっきまで不安で泣きそうな顔してたくせに。」
ぽそ、と言ったのが聞こえて私は慌てて首を横に振った。
「な、泣きそうになんてなってないよ!」
「いーや、なってた。」
うっ、と言葉に詰まる。
「あれだろ。俺の話聞いてるうちに、なんだ、軽いノリで付き合ってたんだ~、ガッカリって思ったんだろ。」
「お、思ってない!」
ちょっと声が上ずった。
そこまで思ってないけど、似たような気持ちが心をかすめたのは間違いなかったから。
「ひかりさ、俺のこと聖人君子みたいに思ってるようなとこある気がするけど、今のうちに言っとくと、それは全くないから。」
「……え?」
「ヤキモチも焼くし、独占欲あるし。」
「今だって、ひかりに元カノの話なんか出来ればしたくなかったし。…彼女の前でくらい、かっこつけたいのに…うまくいかねーよな。」
はぁ~あ、と大きな溜息を吐きながら両腕を上げて伸びをする。
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