6.大切なこと

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「さっきまで不安で泣きそうな顔してたくせに。」 ぽそ、と言ったのが聞こえて私は慌てて首を横に振った。 「な、泣きそうになんてなってないよ!」 「いーや、なってた。」 うっ、と言葉に詰まる。 「あれだろ。俺の話聞いてるうちに、なんだ、軽いノリで付き合ってたんだ~、ガッカリって思ったんだろ。」 「お、思ってない!」 ちょっと声が上ずった。 そこまで思ってないけど、似たような気持ちが心をかすめたのは間違いなかったから。 「ひかりさ、俺のこと聖人君子みたいに思ってるようなとこある気がするけど、今のうちに言っとくと、それは全くないから。」 「……え?」 「ヤキモチも焼くし、独占欲あるし。」 「今だって、ひかりに元カノの話なんか出来ればしたくなかったし。…彼女の前でくらい、かっこつけたいのに…うまくいかねーよな。」 はぁ~あ、と大きな溜息を吐きながら両腕を上げて伸びをする。
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