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「ニンゲン、マタジャマヲスルカ!!」
「確かにお前さん方の四元素耐性(エレメントレジスト)は厄介極まる。だが、対処のしようはある」
「ハッ!俺様の力でゴリ押ししてやるぜ」
「なぁ……四元素っつったろ?お前さんの闇は有効なの?言葉わかる?」
マーキスは肩を竦め、ギルドマスターも渋い顔。
「だぁあああっ!!テメェ言い方ってもんが!!」
「だがなぁ、お前さん独りに任せておくのもアレだ。作戦とも呼べねぇ実に単純かつ大雑把な攻略法だが、一応理にはかなってる」
そう言い構える。
「ここは力でまかり通る、そう言うこった」
「散々ディスってそれかよっ!?」
「アシュレイ君、君は闇属性なんだから……ちゃんと機を見て」
「わ、解ってるっ!!」
白と黒の魔物に連携などない。本能的に一番厄介な者から排除にあたる。必然的にそれはアシュレイに集中する。
「チッ、なんか……こう、やりずれぇな……」
二人に護られるようにして戦わざるを得ない自分にイラつきながらも、機会を探る。
その時。
「マーキスおじ~、アシュレイ氏~」
「る、ルーシェ!?」
「……やりやがったな、ロウ」
低く唸るように呟き見上げた先には明らかに成長、いや、進化した姿のルーシェだった。
「なっ、あれがルーシェだって!?ど、どう言うことです!?マーキス殿っ!!」
「詳細は後程。取りあえず今は使える戦力が増えた事を素直に喜ぼうや、グリッド殿」
明らかな怒りの色が瞳の奥に揺らめき、それも束の間、直ぐに平静を保ちゆったりと言葉を紡いだ。
「ルーシェ嬢、お前さん……何者になった?」
「カイザードラゴンに進化したのだー!えっへん!!」
「進化、した……?」
「ばっ!んな大声で言うんじゃねぇよクソが!!」
「くひひ、すまぬアシュレイ氏~」
事の重大さが分かっていないのか、ルーシェは頭を掻いて気楽に笑っていた。
「ならば主属性は炎、次点で光か。作戦変更だ、アシュ坊は白、ルーシェ嬢は黒を叩け。サポートはする、行け」
単純で明快な指示を飛ばすと、自身も剣に再度魔力を籠め始める。
「マーキス殿っ!!」
「今そいつは建設的じゃぁねぇな。目の前の“敵”を討ってからでも遅くはねぇ、そうは思わないか?あれらは水神様を殺害しようとした化け物共だ」
「しかしっ」
険しい表情で壁の向こうを見やるのを、軽薄な笑みを浮かべてマーキスは諭す。もう一度、仄かに桃色に光が零れたのはその時だった。
「あれは反吐が出るほどお人好しの“マスター”だ。なぁに、水神様とも今頃よろしくやってるさ」
あの桃色の光が何なのか、今日の攻略で嫌と言うほど見て来たのだから間違いようはない。
「後で、必ず説明していただきますよ」
「ああ、勿論」
固い表情のまま、剣を握り締める。幾らでも沸いて出る疑念を胸に押し込めて。
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