第五章 天狗の真意

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   そうすれば次郎丸が九十九神と戦い、神奈が洋輔を援護できる。  戦況は、こちらに傾く。 「向こうにも、あるのか?」  洋輔は、天狗を見上げながらも呟いた。  天狗は、懲りずに雷を落としつつも、長刀を振り回し洋輔に切り付けてくる。  それは、大振りの為に楽に避けられた。 「やはり、天狗の剣術か」  手合わせしてくれた、二体の天狗が言っていた。山中での戦闘は、木々が邪魔になるので突きは鋭い。  正確に言えば、木々を傷付けない為に突きが主になる。  空からの攻撃でも、突きが有効だからだ。 「今のところ、突きは出して来ないな」  それは、平地だからか。  木々を傷付ける心配が無いから、突きを出さないのかもしれない。あの天狗は、幼い頃から天狗の剣術の鍛練をしていた。  だが、大妖の支配下に付いたのもその頃だ。 「型だけを修練し、その動きの意味まで理解していないのかもしれない」  だから、長刀を使っても違和感を感じないのか。  その時、戦況が動く。 「よ、洋輔さま」
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