真夜中の射手

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連続して矢が突き刺さる音を聞きながら転がり顔を上げる 数本の白く光る矢が俺のコンビニの袋を滅多刺しにしてコーラが噴出 しかし良く見ると コンビニの袋を覆う様に半透明で犬程の大きさの赤いゼリーがプルプル震えている、赤いゼリーの中に輝く黄緑色の光が次々に消滅し、やがてゼリーも白煙と共に蒸発した 「ふぅ……八重ちゃん、ありがと」 その間、消えゆくゼリーに対し構えを崩さなかった女が安堵し、漸く弓を下ろした 「…………君、稀人ね?名前は?この辺りの人?」 普段ならば俺は喜んで犬の如く腹でも晒し彼女の質問総てに答えただろう しかし彼女は普通じゃない いきなり人に矢を向け独り言を大声で叫ぶ部類の人間、お近づきにはなりたくない俺は逃げ出した 明日から新しい学校に転入するという緊張感を紛らわそうと散歩がてらにコンビニに行ったのが間違いだったのだ 「……綺麗な人だったな」 家に帰り風呂に入ってベッドに転がり呟いた後、財布を拾って無い事を思い出した
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