彼ら

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そんなこんなで再び風呂である 別に嫌いじゃない、むしろ風呂好きだが1度入って30分後にまた入るとなると気持ちよさなど無かったのでさっさと風呂から出る事にした 「ふぅ……志乃ちゃんは気は利くんだけど頭がちょっと残念なのかな?なぜお湯を持ってくる事に気がつかん」 と呟いたが真新しい浴衣と帯が籠に、恐らく志乃ちゃんだな、優しさは100点だぞ志乃ちゃん その新しい浴衣を着込み洗面台の大きな鏡の前に立ち備え付けの白いドライヤーで髪を乾かす 静かな脱衣室にゴアアアアアッとボロいドライヤーの音だけが響き、無言で鏡の中の温風に踊る自前の金髪を見て、やがて目を閉じる 「……急展開だな今日は……いや、ここ最近、てか日本に来てからか……さすが日本、まだまだ世界の真ん中のジャパニーズだぜ……しばらく退屈はしないかな……そういや叔母さんトコにも顔出さないと」 日本にいる父方の従姉妹も実はこの街に居るんだよ、女の子が二人なんだが何年会ってないんだか、確かチカが小6くらいだったかな 「少しは女の子らしくなってればいいんだけど……真冬も元気かなぁ、元気だろうなアレは……元気じゃない姿が思い浮かべられ……ん?」 しばらく会ってない可愛い従姉妹を思い思わず微笑むちょっと大人な俺、だがいつの間にか起きていた異変に気がついた ドライヤーの音が増えているのだ、明らかにもう一人、誰かがドライヤーを使っている音がする、目を閉じたまま音に集中すると俺の後ろにある洗面台からだ 普通に考えるとするなら壱丸リーダーかトラの筈だが二人共もう風呂は済ませてる、30分前だ 志乃ちゃんと八重ちゃんは俺が入ってるのを知ってるから入ってくる訳がない まさかチョコテンテー?いやいや、たまに男湯と女湯が入れ替わるとは言え……まさか、な…… 「……………ヘケッ」 「キッサマぁああああああッ!!待ってろクソガエル!!熱湯ぶっかけて二度とヌルヌルしないようにしてやらぁああああッ!!」 僅かな期待を胸にそっと目を開いた俺の視界に飛び込んだのは、髪はもちろん体毛すらないクソガエルが鏡の中で背を向けドライヤーで遊んでいた、無い髪を乾かすように、たぶん俺の真似だ ていうかそこはチョコテンテーだろ!!ラッキースケベだろ!!ハプニングあっていいんじゃないの!!一緒に住み始めた初日とかテンプレじゃなかったか!!
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