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カレンダーをめくるように日が過ぎていき、とうとう婚約パーティー当日。
風夜くんに連れられ、訪れた会場(箱)のでかさに、言葉を失った。
「……す、すご……っ」
「もうつーたち会場入りしてるのかなー? 姫ちゃんのドレスの色とか聞いてる?」
訊ねられて、ぶるぶるっと頭を振った。
そういえばここのところ、りかとそういう話をしていなかった。
りかは話をしていたかもしれない。……私が全然聞いてなかった。
申し訳なく思いながら、風夜くんとホテルに入る。
「ようこそいらっしゃいました! どうぞこちらです」
愛想のいい女性に連れられ、風夜くんと一緒に豪勢なロビーを進んだ。
エレベーターに載せられ、上階へ進む。
街並みが一気に足元を離れ、向こうに見えるスカイツリーと対峙していた。
「こちらでございます。ご準備いたしますので、風夜様はこちらへ」
「……?」
風夜くんは別室に通された。
絨毯が敷かれた廊下の上、にこやかな女性に連れられて、「控室」と札のかかった部屋の重厚なドアを押し開けられる。
中には立派なドレスがかかっていて、思わずテンションが上がった。
「素敵……! これがりかが着るドレスですか……!?」
光沢のあるレモン色のAラインのドレス。お腹のところに大きなリボンがある。
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