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「って…え、ちょっ、止めろって!いきなり何やってるんだ!?…ほら、周りの目線がヤバイから……!!」
先ほどから周りを歩いている人がこちらをチラチラ見ている。―完全に俺悪者。
「ほら……立てって。その……騒がれるから、さ。」
「うぅ………すみませんすみません。」
出来る限り優しく諭して引っ張っても、全く立とうとしない。
―お前は良くても俺は恥ずかしい上に悪者目線に曝されてるんだよ!わかれ、このメガネ!
「お、お金なら払いますから…!見逃してください~!!」
「「「えっ!?」」」
メガネェェ………!なんて事言ってくれてんだお前ッ!!
泣きながらメガネが言ったセリフに周りの人がヤバイと言った顔をする。こっちの心境もヤバイ。
「違っ……誤解だ!!俺はそんな事してな……―そこの奥さん!誤解したままどっか行かないでくれ!」
持っていた買い物バックを地面に落とし、顔を青ざめてどこかに走りゆく主婦のオバサンを必死に呼び止めようとしたが聞き入れてもらえなかった。―待ってくれよ、コンチクショウ……!
他の周りの人も遠巻きにこちらを見ながらヒソヒソ話している。
これは不味いと思い、うずくまっているメガネの肩をユサユサと揺さ振る。
「おい!お前の発言でヤバイ事になってる!しっかりしろ!!早く誤解を―」
「うひゃい!?すすすみません!!」
「おい止めるんじゃ!!そこのカツアゲ!」
―誰がカツアゲだクソジジィ!!誤解だって言ってるだろう!?
ギッと睨むとジジィ含め他の人達も悲鳴をあげる。―なんぞこやつら…。全く話しを聞かないじゃないか。
このメガネもそうだ。人が気遣って声かけてやったのにこんな仕打ち。ふざけんなよ、もう…見ない振りすれば良かった……。
ジト目で見下ろしているとメガネは涙を拭いてスクッと立ち上がった。―今度は見上げる立場だ。地味に首が痛い。
ようやく状況がわかったのかと思い安心するも、そいつは再び顔を歪ませ
「うわあああああぁん!!!」
走り去って行った。
…………………………。いや、待て!!まず、状況をなんとかしろよ!?
―おい、戻ってこい!逃げるなメガネ!!
俺の切実な思いの声は届かずそのまま走って行った。
………………………………………マジですか。
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