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…震える手で、港の手を握りしめる。シャツににじむ赤に、心が震えた。
「…っ。巧先輩っ!!」
…真っ青な顔で走ってきたのは、風紀の副委員長の松谷だった。
「松、谷…。」
「……担架連れてきた。港ちゃんを救急車で病院運ぶから。手伝って?…届けは、出しておくから。付き添ってあげて。…マリモの事は、大丈夫。…任せて?巧先輩が戻ってくるまでには、ちゃんとしておくから。」
…泣きそうな顔でそう言った松谷に頷く。
松谷の後から来た、担架に港の身体が乗せられて…
昇降口に寄せられた救急車の中に、港の乗った担架がガッチリと収まる。
…俺はそれに付き添って救急車に乗った。
「…状況を教えて頂けますか?」
…その言葉に頷いて…
俺は、救急隊員の人達に状況を説明し始めた。
「肩をボールペンで刺されました。…意識がありません。」
心配で、眉が寄る。
唇を噛んで、震えを抑えた。
……そうして。
俺は自覚した。気付いたんだ。
…あぁ、俺。…港がスキだ。
………だから、こんなに苦しいんだ。
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